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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(新れ)454号 決定

本籍

朝鮮慶尚南道金海郡礼進面右幕里

住居

岡山県久米郡加美町大字原田

農業

西村一郎こと

崔海文

大正三年二月一六日生

右に対する酒税法違反、公務執行妨害、傷害被告事件について昭和二四年一一月一〇日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し原審弁護人豊田秀男から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人山下東太郎の上告趣意について。

所論は原判決が憲法の解釈を誤つたものであると主張するのであるが、司法警察員根木完の所論捜索行為が憲法三五条に違反するものであるということは、原審において控訴趣意として主張せられず、従つて原判決はこの点について判断を示しているものではないから、所論は適法な上告理由にあたらない。のみならず、記録を調べても、右捜索行為が本件臨検捜索差押許可状の許容する範囲を逸脱し、公務執行妨害罪の対象となりえないものであるとは解されないのであつて、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとも認められない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条により主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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